テーブルに手を付くとズキンと痛むのですが…

今回は実際に当院をご利用いただいている患者さまからの相談となりました。同じようなお悩みをお持ちの方も多いので、解説を加えたうえで共有いたします。

手首の痛みは何が原因？

当院からの回答内容

今回は当院に実際に通われている患者さまからの相談で、口頭にてお悩みを伺い、その場で回答した内容を改めて文章化しています。まずは考えられる症状から説明していきます。

考えられる症状

手首の痛みは、主に 腱鞘炎（けんしょうえん）、ドケルバン病、TFCC損傷（手関節三角線維軟骨複合体損傷） 、キーンベック病（月状骨軟化症）などが考えられます。これらは日常動作のくり返しや手首への負担で起こることが多い症状です。

次にこれらの症状をひとつひとつ説明します。

①腱鞘炎（けんしょうえん）

手首や指の動きを支える腱が通るトンネル（腱鞘）で炎症が起きる状態です。家事、スマホ操作、マウス操作などの繰り返しで発症しやすく、動かすとズキッと痛んだり、朝にこわばる感覚があります。整形外科では安静・固定、消炎鎮痛剤、ひどい場合はステロイド注射が行われることもあります。今回の質問者さんは腱鞘炎の可能性が高いと思われました。

痛みを感じる場所は人によって違いますが、手の甲の手首だったり、手のひらの手首だったり、どのように日常的に手を酷使しているかによって変わります。

手首の小指側の軟骨組織（三角線維軟骨複合体）が傷ついた状態です。転倒や手のつき方、慢性的な負担（ゴルフ・テニス）で生じやすく、体重をかけたときや手首をひねる動作で小指側に痛みが出ます。病院ではMRI検査を行い、軽度なら固定や鎮痛処置、重度なら手術が検討されます。

手首の小指側や手首小指側の骨の出っ張り（尺骨茎状突起）を押すと痛みがみられます。

④キーンベック病（月状骨軟化症）

手首の中央にある、月状骨（げつじょうこつ）という小さな骨が、血流不足や繰り返しの負荷によって壊死（骨が死んでしまう状態）を起こす疾患です。症状は手首の中心付近の痛みや腫れ、動かしづらさです。物をつかむ動作や机を押すと痛むことが多く、進行すると骨の変形や関節の動きの制限が現れます。対処法は安静を保ち、固定（サポーターやギプス）で負担を減らすことが一般的です。

手首の中央付近に痛みを感じます。

鍼灸での施術

まず炎症を緩和するために、手首まわりや前腕の筋緊張をやわらげ、血流を整えることを目的に施術します。前腕の筋や腱に対して温灸や鍼を用い、局所の炎症の負担を軽くします。

また炎症が落ち着いてきてからは、肩や肘の動きも関連するため、上腕や肩甲部にも施術を行うことがあります。これは普段、前腕の力だけで日常の作業をしていることで腱鞘炎などの症状が出ていると考えられるので、肩や背中の筋肉や関節の動きを改善することで結果的に手首の痛みの改善に繋がります。

セルフケアのポイント

• 痛いときは無理に動かさず、手首に体重をかける動作を避けましょう。
• 初期の炎症時は保冷剤などで軽く冷やし、慢性化してきたら温めて血流を促進します。
• 痛みが落ち着いてから、指を軽く伸ばしたり、手首を回すストレッチを行うと再発予防になります。肩や背中の体操も改善に役立ちます。
• スマホやパソコンを長時間連続で使わず、30分おきに手首を休ませましょう。

手首は細かい作業に欠かせない関節です。早めにケアを行うことで、炎症や痛みの悪化を防ぎ、回復を早めることができます。

手首のお悩みに関連するページのご案内

当院では部位ごとに症状別ページをまとめています。ぜひご覧になってみてください。

手首の痛みに対する施術方針はこちらのページが参考になります。

当院であなたのお悩みに対応可能どうかを５秒で調べることができる症状検索ページもご活用ください。